パンク勘違い


「っげ、っげっ、っげっざごーりっ!!」

高校3年の秋。1コ下、高校2年の見た目が「怖い」軍団が文化祭のステージでこんな曲を奏でていた。ステージの下では彼らの友だちがぐるぐる回っている。モヒカンやら鋲やらを身にまとって。

「か、かっこいい…。」「年下…。」「怖い。」

僕は中学時代からの傷を負ってはいたものの(詳しくは第2話)、バンドの世界に魅了されて、ギターを背負い始めていた。

この曲は誰の曲なんだろう?

当時の文化情報源は「DOLL」「EATマガジン」「Boon」などの雑誌。私服の高校だったため、最新情報の入手は必須でした。しかも僕の場合にはとにかく「ダサすぎず」「目立たない」ものが必要という、高めのハードルがありました。持ち物もちょうどいい塩梅のを選ばないと、途端に同級生による「サクリファイス」。生贄になるのが目に見えていたのです。

それらの情報をもとに当時の僕がたたき出した答えは、

「これはきっと『ランシド』というバンドの曲に違いない。」

件の雑誌には、アメリカのバンド「RANCID」のモヒカンや鋲ジャンの写真がよく並んでいたからでした。

中古屋に行くたびに「ランシド」のCDやレコードを探しては買って帰る、という修行が始まりました。

「これじゃあなさそうだな。」「これにも入ってない。」

幻の「っげっざごーり」を求めて。ずいぶんさまよいました。「今さら聞けない」という鎧をまとい、レコード荒野を右往左往する日々。

一体、いつになったら、あのかっこいい「っげっざごーり」を家で聞けるのか。あのかっこいい「っげっざごーり」を弾かせておくれ。

成人式のずっと後。人前で演奏するようになってだいぶ経ってからです。その曲が、日本の「LAUGHIN’ NOSE」の名曲だと知ったのは。

と同時に、そこには「ランシド」全リリースを持っている自分。そしてほとんどの曲を弾けるようになっている自分。しかもギターもベースもできるようになったやつが、立ち尽くしていました。

(つづく)

今後の予定

【農業】米、柑橘、サフランの収穫中

【音楽】11月26日(土)”サタデーナイトフィーバー・広島cero前夜祭” 【DJ】 角張、チン中村、恵谷、GODBIRD、INUGAMI、小鰯、AKARI、HIROYAN & SP GUEST

【仏教】12月31日~1月3日 総本山善通寺(香川) 初詣のお勤め

ママとベビーの雑誌「tocotoco vol.36」、ミシマ社の雑誌「ちゃぶ台 vol.2『革命前々夜号』」に寄稿、書店にて発売中。

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