パワーとんちんかん


コンコン。ガチャ。

初夏の夕方。ドアを開けると、家の前にヘルメットを持った男子が立っていた。そのむこうには、もう一人見知らぬ青年・・・。

「ど、どうしました?」

「休みができたので、また来ちゃいました。」

造園業を営む青年が、バイクでやってきた。この日妻は留守、僕と娘と息子の3人で、ちょうど息子を抱っこしながら火を使っていた。残念ながらこの時はハードな「主夫」時間だったのだ。

 

彼は以前も一度来たことがあった。そのときは、30キロくらい離れたセブンイレブンで、「この島に中村明珍という人はいませんか?」と聞いたという。当然知るわけがない。が、そこは周防大島。なぜか店員が一緒に調べてくれたらしく、ここまでたどり着いた。君もすごいが、セブンもすごい。

そのときは少し時間があったので、浜辺でちょっとだけ話をした。

かつて、お母さんと一緒に銀杏BOYZのライブに来たこと。精神的な問題で家から出られなかったそのお母さんが、ライブきっかけで社会復帰できたこと。彼自身も僕たちの音楽をたっぷり聞いて、今はちょっと卒業したとのこと。

ありがたい話、ちょっと切ない話。色々こみ上げてくるものがあった。バンドやっててよかった。

兄弟で「造園業」を営んでいるとのことで、僕からは「樹木を剪定するときの、オススメのノコギリは何か」を質問して、別れた。

 

突然再訪したこの日、彼の手には「剪定ノコ」が握られていた。

「これ、使っていたノコギリで申し訳ないんですけど、差し上げます。」

玄関先でノコギリを受け取るという初めての経験。わざわざ遠くからありがとう。

ノコギリをさやから出すと、めっちゃサビていた。

 

その後、やすりで研いでありがたく使っている。

 

過日。

今度は10年来の友人から、突然のメール。

「島に行く」「農作業を手伝いたい」との旨。

FOUR TOMORROWという埼玉出身の4人組パンクバンド。かつては何回も一緒にライブをやったり、スプリットCDを出したり。そこのギタリストで、エレファントカシマシをこよなく愛する「ワタナベナオキ」氏が単身訪れる。彼と会うのは本当に久しぶり。はるばる、うれしいなあ。

ちょうど農繁期にさしかかっていたので、遠慮なく手伝ってもらうことにした。

ナオキ。

ナオキ。

ナオキ。

 

なぜ彼は農作業を手伝いたかったのか。

彼は思春期をすぎたあるとき、「植物」や「巨樹」に魅せられてしまったという。

それが高じて、今、「造園業」の会社に勤めている。

 

 

造園業、なぜ私のところに。

 

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※スプリットCD : 2組~3組の演者の音源が1枚に収められている形態の音楽ディスク。

※FOUR TOMORROWの音源はこちら
FOUR TOMMOROWとDERANGEMENTSのスプリットCDはこちら

 

【お知らせ】

2017年7月25日(火)18:00‐ YORIMICHIBAZAR vol.6

《内田樹×森田真生 『真夏の対話会』 -周防大島サマースクール序-》完売御礼!!

http://yorimichibazar.com

2017年7月29日(土)16:00- 松山・柳井町商店街

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