スマホとぞうきん12


sumaho&zoukinmini

高価な録音機材はないけれど、スマホさえあれば思いつき(アイデア)をすぐにアルバムとしてまとめることができる。一人で練習スタジオに入り鍵盤を弾き、それを録音機能で再生しながら多重録音的にドラムを叩いたものをGarageBandで編集して「Drum&Piano」が完成。息子と休日に練習スタジオに入って「N’夙川BOYS」式にギターや鍵盤、ドラムを交代で演奏すればアルバム「ぼうやのアルバム」が完成。こういったものを誰にも頼まれず日々まとめている。

絵を描くことが本業だから、音楽家のためにジャケット絵やMVをディレクションすることも多々ある。メジャー/インディを問わず、エンジニアやA&R、デザイナーたちが力を合わせ予算をかけて作る商品としてのアルバムと比べると、このお手軽なスマホ録音が正しく「アルバム」と呼べる価値を持つものだとは思わない。でも反面チープながらフレッシュさがあるし、やり方次第で一定の商品性が発生するかもしれない。

というわけで会場限定のCDRとして発売してみることにした。マスタリングはせず、ジャケは落描き程度の絵、デザイナーには頼まず自力でレイアウト、パッケージは印刷代一枚5円のコピー紙でCDRを包みマスキングテープで封をする。価格はワンコイン500円。商品性を高めるためのメジャー仕事とは反対に「価値を下げる」ことに重きを置いている。

雑誌で例えるなら商業出版ではなくZINE。配信も通販もせず、稀にミュージアムショップなどで販売。自分でCDRを焼き手描きでナンバリングしているから「サイン入り」と解釈することもできるし、中身もジャケットもプレスも自分なので責任の所在がはっきりしている。そんなわけでプライベートCDRレーベル「DJまほうつかいレコード」こと「DJMR」が二年前くらいに発足した。カタログは廃盤も含めて既に16枚を数える。意外に評判もよく、いまのところぎりぎり黒字。