スマホとぞうきん35


sumaho&zoukinmini

椎間板ヘルニアの発症と長期治療のため、DJまほうつかい、ひめとまほう、そしてレーベルDJMRの運営含めてすべての「音楽活動」を休止して数ヶ月、正直周囲の人間は誰も困っていない。困ってないばかりか、そのことにとても安心しているようだ。家族は「やっと正気に戻ってくれたか」という顔。このまま死んだように静かにしていて欲しいみたいだ。

マンガ雑誌の担当編集者もしかりで、口にはしないが「細々した仕事は止めて連載に集中してほしい」というのが本音のよう。DJまほうつかいの所属レーベル担当者も別の音楽家のリリースで多忙な様子で、スケジュールに余裕が出たようだ。どうやら誰も困っていない。

もちろんキャンセルをしたライブハウスや、メンバー、流通、そして熱心なファンの方には心配や迷惑をかけたと思うし、心から謝罪をしたい。しかし、それでもやはりみんなほっとしているように感じる。

個人レーベルやインディペンデントな音楽家というのはいわゆる「仕事」とは違う。会社ではないし、注文があって成立するものではないし、売り上げのノルマもない。勝手に始めて勝手に続けているだけ。よく言えば初期衝動。実験ではあるけど、ビジネスではない。

でも、本業と称する「マンガ家」だって、少なくとも最初の一歩、いや二、三歩目まではそうだった。別に頼まれてないし勝手に描いているだけ。初期衝動。いやもしかしたら今だって・・・。

頼まれもしないことを勝手に初めて、夢中になり、止まらなくなる。ビジネスにもならない。このことについて例外的に肯定的な反応をくれたのは美術館の人だった。いわく「それこそがアートですよ」とのこと。

そんなわけで、体を休ませ、治療に専念する中、ふと思いついたのは、演奏ができないのなら展覧会をしたらいいのではないかということ。もういっそ、死んだ人みたいに大回顧展がいいかもしれない。長い活動の中で、衣装、アートワークのためのスケッチや原画、ミュージックビデオやライブ映像、ピアノ作曲の譜面、この連載ふくむ様々なテキスト、音楽の元になった自著など、膨大な資料があるからだ。

展示のタイトルは昨年星になったデヴィッド・ボウイにあやかって「DJまほうつかい is」。これに決まりだ。