SHINGO★西成いわく「CD売れない/ラップで食えない/言うてる暇ないからやるしかない」。般若いわく「日本語ラップが売れない/てことはぶっちゃけみんな飯食えない」。どちらも少し前の曲だが、ヒップホップの人は率直に現状を語るから信頼できるなと思う。細々とレーベル[DJMR]を運営し始めて同じような実感がある。CDはそんなには売れない。
どうしてシャカゾンビのオースミは音楽よりもファッションブランドを選んだのか、どうしてNIGOはどの音楽家よりも偉いのか、ファレルは、カニエは? そんな疑問もレーベル運営をしてみると良くわかる。服やグッズのほうが音盤よりもはるかに利益率がいいのだ。
CDを流通に乗せるとお金が入る。でも1stより2nd、2ndより3rdとリリースが積もるにつれて商品(※音楽の価値ではなく)の鮮度は落ち、売れなくなっていく。売れなくなってくるとどうするか? 扱う商品の単価を上げる。つまりグッズ付きの初回限定盤を作る。
そうるすと商品の価格が倍以上になり、例え売り上げ点数が今までの半分になっても売り上げはキープできることになる。トートバッグ付き、Tシャツ付き、タオル付きと、付録を考えるのは楽しいし、音楽とグッズが等しい価値を持つならレーベルは音楽を超えて「グッズ屋さん」になってもいいなと思う。実際グッズ作りは規格や価格相場の決まったCDや配信音源よりも、クリエイティヴの余地が多い。レコードを買ってもMP3のダウンロードコードが付いてくる世の中では、レコード盤だって音源ではなく重くて大きいグッズなのかもしれない。
バンド「ヤバイTシャツ屋さん」が気になってサイトを見てみると、物販ページの名前が「ヤバイTシャツ屋さん屋さん」だった。なんだかよくわからないけれどもうなんでもありだ、と思った。