スマホとぞうきん14


sumaho&zoukinmini

「DJMR」こと「DJまほうつかいレコード」は手焼きCDRレーベル。そもそも「DJまほうつかい」という音楽活動がスタートしたのは、カバー絵を担当した磯部涼の音楽批評集『ヒーローはいつだって君をがっかりさせる』の販促物として書店でやけのはら、またはシロー・ザ・グッドマンのMIX CDRがプレゼントされていることを知り、「だったら自作のマンガ作品につけてもいいのでは?」と考え、50枚ほど焼いた「世界の終わりmix CDR」を『世界の終わりの魔法使い』という二作目の著書に付けことに始まる。これが2005年のこと。

つまりCDRというメディアとの意識的な付き合いは10年以上に及ぶ。その間に音楽環境は激変したが、個人的にはCDRは変わることなくCDRのまま。お手軽で、時に非合法にも寛容、手軽に捨てられ、最終的には畑やベランダのカラス避けに最適。

静岡県ヴァンジ彫刻庭園美術館での展示のために長期滞在制作することになり、ミュージアムショップで特典としてCDRを配布しようということになった。昨年のコンサートのライブ音源3曲を収録した「CANDLE NIGHT EP」。紙ジャケットを事前に印刷し、CDRを焼く作業は美術館の事務室に並んだMacintoshで滞在制作の期間に絵を描きながらのんびりやろうと考えて、生CDRとマスキングテープを持参した。

しかし、最近一新したという美術館のすべてのMacにはCDスロットがなかった。そういう時代らしい。スマホが前提となっている世代ならば、わざわざ光学メディアから音楽を取り込む作業の意味自体がわからないだろう。そういえば自宅のMacは10年近く使っている。CDR、CDというメディアと、CDドライブ付きというハードの終焉を旅先で知った。