スマホとぞうきん5


sumaho&zoukinmini

息子の誕生日に赤い小さなギターを買った。くるりの曲「男の子と女の子」に「小学生くらいの男の子/(略)/ロックンローラーになれよ」という一節があるが、そういう気分。「DJまほうつかい」のような不思議な音楽家ではなく、ロックンローラーになってほしいと思った。ギターショップで買い物をするのは生まれて初めての経験で、袋に印刷された「ESP」のロゴに照れた。ピックはKen Yokoyamaのシグニチャーにした。

テクノ、エレクトロニカ、実験音楽。シーケンサーやプログラムによって作られる音楽を好んで聴いてきた。原因を辿るとジャズ好きの父親の影響だと思う。生演奏と即興性に基づく音楽が家で鳴っていたから、「そうじゃない音楽」を自分で発見して好きになった。だとすれば「DJまほうつかい」の反動で息子がロックンローラーになることも、理屈として合っている。

息子のためと言いながら、自分でも毎日ギターに触っている。指で音を探りながらゲーム『スーパーマリオブラザース』の「地上BGM」や映画『スター・ウォーズ』の「帝国のマーチ」を奏でたり、弦を半分だけ使って不完全なコードで作曲してみたり、プログラム的でない「演奏」を楽しんでいる。

ある日悪戯にペグをひねられて、思いきりチューニングが狂ったことがあった。困ったなとスマホで調べてみたら「Guitar Tuna」というアプリを発見。ギターの音を感知し、音の当たり外れがグラフィック化され、音楽ゲームのような感覚で調弦の手助けをしてくれる。スマホのおかげでギターショップへ行かずに自力でチューニングができた。

息子はギター以上にこのアプリに興味があるようで、チューニング作業をゲームのように楽しんでいる。


(不慣れなギターで初めて作曲した曲)


(オリジナル曲「Motherless(母のない子)」)