スマホとぞうきん36


sumaho&zoukinmini

例えば坂本龍一の中咽頭がん治療。またはYOSHIKIの頚椎間板ヘルニア手術。あるいは病弱だったニッキー・ホプキンスのソロアルバム『夢見る人』。エイズが進行するフレディ・マーキュリーが歌う「The Show Must Go On」。腰の椎間板ヘルニアを患って以来、ついつい高名な音楽家たちの病気のことが気になってしまう。ピアニストの場合は特に。

ワタリウム美術館で観た坂本龍一の設置音楽展でなるほどと思ったのはリリースツアーではなく展示を行うという行為それ自体であり、興味深く感じたのは趣向を凝らしたサウンドインスタレーションではなく、ハワイでの療養日記として読める小冊子『坂本龍一/ハワイ/async/二〇一七』の言葉だった。

健康あるいは病についてについて身を持って考え始めると、音楽フェス内でヨガ教室が開催されることやフェス飯の重要さも納得できるし、音楽と隣接して衣食住や健康が存在することがわかる。その人が生きている限り健康な状態で音楽は奏でられるし、聴くことができる。病にあっても、それはそれで意味を持つ。

究極的にはその人が亡くなったとしてもなお、録音や回顧展という形でその音楽は光を与えられる。「デヴィッド・ボウイ大回顧展: DAVID BOWIE is」はまさにそれだし、記録としてのレコード本来の意味とはつまりそういうことだろう。

そんなわけで、黙々と展覧会の準備をしている。すでに会場も抑え、とりあえずは2011〜2017年までの活動に関しての回想録を執筆中。生きているうちにできることをしよう。「DJまほうつかい is」カミング・スーン。