スマホとぞうきん40


sumaho&zoukinmini

レーベルとの相談の結果、LPサイズのアルバムではなく、7inchのレコードを作ることになった。収録時間に制約があるので、片面ずつ収録曲を選ばなくてはならない。選曲に当たって最も大きな縛りはレコードの回転数だ。45rpmにするか、それとも33rpmか?

「rpm」とは「revolution per minute」の略で、一分間に何回レコードが回転するかという意味。ふと思い出すのは、PIZZICATO FIVEのアルバム『HAPPY END OF THE WORLD』の一曲目「世界は1分間に45回転で廻っている」。ドラムンベースを導入した97年の先鋭的なCDなのに、この曲にはわざとレコードノイズが貼り付けられている。とても意識的だし、ユーモアを超えて寂しさやアイロニーも感じる曲。

回転数が早い方が音質は良くなるが、その分収録時間は短くなる。回転数が遅いとその逆。45回転の場合、収録可能時間は片面4~5分。33回転だと、音質はやや下がるが収録時間は増えて片面6〜7分。いっそA面B面で回転数を変えるのもありかもしれない。とにかくこれはCDリリースの時にはなかった、レコード故の悩みだ。

iTunesを立ち上げて、収録候補曲をプレイリスト化する。片面2曲ずつくらいが良いか? それとも、高音質で片面1曲か。A面B面と分かれるので、個別にテーマを立てるのもいいかもしれない。プレイリストをiPodに移し、移動時にも聴いてみるが、イメージしにくい。レコードをひっくり返して回すという一連の行為がショートカットされてしまうからか? それならば・・・。

というわけで、iTunesのプレイリストにまとめた収録曲をスピーカーから再生するのと同時に、ポータブルレコードプレイヤーに無関係なレコードを置き、ボリュームをゼロにしたまま回転させている。片面の曲が終わると、レコードをひっくり返し、置き直し、もう一度回す。iTunes再生。その繰り返し。

ゴールデンボンバーのような、レコード再生の当て振り。メタルキッズのエアギターのような、空虚なイメージトレーニングをしている。とにかく世界は1分間に45回転または33回転、そのどちらかで回っている。


(シークレットトラックの小西康陽の「まわってまーす」という絶叫最高)