[DJMR]こと「DJまほうつかいレコード」は一部タイトルをタワーレコード限定CDRとして流通させている。姫乃たまとのポップユニット「ひめとまほう」名義でのリリース。「IDOL NEWSING」というアイドル専門のレーベルが流通の窓口となっているため、音楽ジャンルが広義に「アイドル」ならばCDRでも流通が可能なのだ。
ピアノ曲のインストであるDJまほうつかい名義でインストアライブの枠を取るのは至難の業。しかしアイドル的な流通の場合、インストアイベントはむしろ不可避。リリースのたびに最低でも1回もしくはそれ以上タワーレコードでインストアライブを要請される。シングル一枚ごとに特典券を付け、その枚数に応じて「握手」「サイン」「チェキ」「似顔絵」という枚数に応じたサービスを提供しているため、結果的にその店舗でチャートインしてしまう。その日一日限りだが、嵐や宇多田ヒカルを抑えてその店舗でデイリーチャートで1位になったりする。汐留店では1位、あの大きな渋谷店でも4位にランクインした。
また、音盤という母体があればグッズをつけることも可能な契約になっているため、通常盤とは別に初回限定盤としてグッズ付きセットを作っている。初めて作ったのは「夏タオル」。夏をテーマにした「真夏のスケープゴート」という曲の中に「タオル回して湘南ウィンド」という歌詞があるため、湘南乃風のようにライブでぶんぶん回すタオルを作った。一部ファンもやや戸惑いつつも実際にタオルを回してくれた。
次に作ったのはトートバッグ。ビクトル・エリセの同名映画やスペイン内戦をテーマにした「みつばちのささやき」というシングルをリリース。「みつばち」をキーワードにした言葉の連想ゲームのような曲で、歌詞の中に「みつばちトート」(色彩豊かなトートバッグブランド)「みつばちトート」という言葉が出てくる。実際に「みつばちトート」とコラボできたらいいなと夢見ながら、その予算も販売規模もないため、自社製品として「みつばちのささやきトート」を作った。
収録時間や大きさ、価格の規定が存在するCDという規格の縛りと比べてグッズはずっと自由だ。バーコードを取得してパッケージングできていればOKなので、極論を言えば、一点物のアートとして絵画を付録にして初回限定10万円で売ることもできるはずだし、アイドルファンを扇情的に煽るなら「使用済み下着」を付録にして90年代の「ブルセラショップ」を現代のタワーレコードに甦らせることもできるはず。
最低限の「音楽的必然性」と、法に触れないレベルでのファンの喜びがそこにあればそれは成立するのだろう。初回限定盤の可能性は無限。次は何を作ろうかな?