DJMRこと「DJまほうつかいレコード」は手焼きCDRレーベル。二年前の2015年にレーベルが始まり、今年2月のリリースで通産28タイトルとなる。レーベル発足時はイベントごとに10枚ほど焼いて現場で販売すればよかっただけなので、自宅にあるMac一台で機材としては何も問題はなかった。また、流通せず現場販売のみ、少量をその都度ちまちまと生産し在庫を持たないことも、レーベル初期において重要なコンセプトだった。
ある日、CDRを焼いてる途中で自宅のMacが「ごりごりごり」と悲鳴を上げるようになった。それを機に正常に焼ける確立が著しく低下。やがてコンピューターはCDR生産機械としての機能を全く果たさなくなってしまった。
ところで、大学の美術科で非常勤講師をしている。そこには「第二マックルーム」という一世代の前のコンピューターがずらりと並ぶ、あまり使われていない部屋がある。最新機種が揃う「第一マックルーム」のほうが人気だからだ。個人的にデザインや着彩などのデジタル作業をしたい時には、旧式のMacが並ぶ「第二」に一人篭って制作に集中することもある。
歌ものをリリースするようになってから、DJMRのCDRは全国流通することになった。全国流通になると最低限でも200~300枚ほどCDRを焼く必要がある。というわけで、やや旧式のコンピューターがずらりと並ぶこの部屋でデジタル制作をしながら、数台のMacを並列させて時々(学生に迷惑かからない範囲で)CDRを焼いている。
自動車メーカーが海外に工場を建てる気分で、生産ラインを確保できた。旧式のコンピューターが工場員だ。