ありそうでなかった当店のベストディスク企画!記念すべきスタートの年は広島で活動する世代を超えた数名のミュージック・ラヴァー(+ステレオのスタッフ)に今年のベストディスクを選んで頂きました!作品のフォーマット(CDやレコードであるとか配信であるとか)は特に限定してません!盤選者の方は50音順で紹介させて頂いてます。さあ、あなたのお気に入りの1枚は入ってるでしょうか!?
(作品の表記は、アーティスト/タイトル/レーベルの順です。)
■anndoe(jailbird Y) : 広島在住。ノイズパンク集団 “jailbird Y”の核。PEXPOX名義でレーベル/企画等を行っている。
PEXPOX http://pexpox401.tumblr.com/
jailbird Y http://jailbird-y.tumblr.com/
anndoe https://mobile.twitter.com/lolclob
・P-iPLE / DO DO DO A SILLY TRAVEL BY BICYCLE BICYCLE / Call And Response
日本のエキサイティングなアートパンク/オルタナシーンで暗躍するお姉さん達による2017年製ノイズパンク。超踊れるメロディとPOPなベース、耳をつんざくギター もう踊るしか!BIKINI KILL,FUGAZI,SONIC YOUTHあたりを爆弾でドーン!
・石頭地蔵 / Live at Navaro 2017.09.17 / 自主
元CANのダモ鈴木とのセッション盤やP-VINEからのリリースでも知られる熊本のバンド”石頭地蔵”、今年9月のLIVE音源CDR。
新曲ばっかり!NYパンクや東京ロッカーズ的エッセンスが大爆発。生々しくド迫力な音質は川本 潤(Navaro)によるRec/Mix。中毒性 凄。
・DJ CHOCKEE, chann yuu / SWEET SMOKE (TAPE) / CHOCKEE RECORDS
広島地下シーンに欠かせないDJおふたかたCHOCKEEとchann yuuのスプリットMIX。リバーシブル仕様のジャケアートが楽しめるナイスな作り。マスタリングはketa ra。甘い煙いサイケデリックスにボ〜ンと心地よくチルってると一気に深いとこまで連れてかれちゃうドキドキ。
・BLONDnewHALF / CLEAN / 男道レコード
関西インディーシーンから地下現行PUNK/オルタナシーンにヤッバい狂気を撒き散らかす危ない錯乱サイケパンクfrom神戸。
待望の2ndアルバムを男道レコードからリリース!パンクでロウニューウェーブな音質にヨダレとトキメキが止まりません。狂ったダンスがやめられない全16曲。躁鬱。虚無。最高。
・まやかしプラスチック / DEMO / 自主
クアトロで解散騒動〜廃校フェス出演、ひめとまほう(姫乃たま&西島大介)の裏方などなど自由に活動する”まやプラ”のLIVE限定少量販売のCDR。かなり目にくる手作りパッケージがヤバい。チープなビートとナイスローファイな音質、甘々フレンチポップ感とメロに謎なサウンドエフェクトがまぶされて神っている。
ひとこと「全部LIVE現場で手に入れた音源になりました。これ以外の新譜だとLumpy And The Dumpers, Death Eyes, The Body & Full Of Hell, Oh seesを結構聴いてます。あとCRZKNY / MERIDIANの音源が凄かった。今年はjailbird Yのレコードリリース出来て良かった。来年も何かきっと。」
■尾崎 浩一(eurasian suite): eurasian suite label主宰。「和 日本の心を持って広島から世界に発信する」をコンセプトに広島を拠点に活動中。広島のbar edgeで毎月第四木曜日に20年以上にわたり開催しているロングランParty – EURASIAN SUITE – を活動のベースとしている。DJ・楽曲制作をはじめ、スイング ジャーナル、ジャズ ジャパンへの寄稿、レコードガイドJazz Next Standard シリーズ の執筆、universal music でのライナーノーツの執筆などを手掛ける。楽曲は英国国営放送Gilles Peterson World Wideをはじめ欧米各国でPlayされるとともに、多くのCompilation Albumにも収録される。初の7inchとなる esep45-001を2017年4月に発表。
2017年からは東京渋谷Bar Musicにて、第5土曜日+αでレギュラーDJも再開。また、広島の老舗Jazz喫茶Satin Dollにて、「着座で聴くダンス・ジャズ」を標榜し「Satin doll meets Eurasian Suite」を2014年から同店の休店まで主宰し、現在も同コンセプトでのPartyを場所を得るたびに開催している。
1. Ian Fink / Middle Birth EP / Discovery Recordings
ハウス・ミュージック制作者とジャズ・ピアニストの2つの顔を持つ「イアン・フィンク」。デトロイト・ジャズ・シーンで14歳から活動し、2010年からはトライブ・レコーズに傑作を残す「マーカス・ベルグレイヴ」と彼が亡くなるまで活動を共にした。B1の「New Dog」はデトロイトのジャズの俊英と録音した、ストレイト・アヘッドなジャズの傑作。場の空気を一瞬で変える。
2. Smino / blkswn / Zero Fatigue LLC
ミズーリ州セントルイスの音楽一家に生を受け、少年時代から教会バンドでドラムを担当すると共にラップも始めた「スミーノ」のデビュー・アルバム。移り住んだシカゴの「チャンス・ザ・ラッパー」周辺との親交も厚い。70年代のソウル・ミュージックとジャズの質感とデジタル化著しいヒップ・ホップとを、体温を感じる音質と2017年の感性を持って融合させた佳作。
3. The James L’Estraunge Orchestra / Closer / Groovin’ You
マルチ・ミュージシャン・ヴォーカリストである「リッキー・レイド」が発表した12inch。「Closer」は初期英国ニュー・ウェイヴ感のあるハーモニーとブレイク・ビーツに、クラシカルなストリングスとジャジーなサックス、そして彼の歌声が加わる2017年男性ヴォーカル・ジャズの良作。パーティーのジャンルを問わず、例えばロックのパーティーで聴いても盛り上がるであろう一枚。
4. Small Circle of Friends featuring Benny Sings / Summer Song EP / MUSICAANOSSA
2016年の11thアルバム『Silence』収録の「Summer Song」を広島出身でBar Music店主の中村智昭君が自身のレーベル『ムジカノッサ・グリプス』で初7inch化。本盤エクスクルーシブとしてオランダのポップ・マエストロ「ベニー・シングス」を迎え制作された「Summer Song Part 2」は言語とジャンルの壁を軽々と越える晴れ渡った作品。洗練された音数の少ないトラックに無音も音楽なのだと再認識させられる。
5. Koichi Ozaki / Interlude For Satin Doll / Oriental Species / eurasian suite
手前味噌ながら2017.4.23にアナログでは2006年以来11年振りにリリースした拙7inch盤も。前年9月プレス決定、1月英国でのマスタリング・テストプレス、4月発売と、足かけ8か月を要しました。自宅6畳一間での演奏・録音の品質が、英国敏腕技師の手により素晴らしい音圧と音質に昇華。デジタル・リリースも良いが「作品が形になることは人間の根幹に響く喜びなのだ」と再認識した。
ひとこと「2017年はeurasian suiteレーベル初の7inchをリリース出来たり、東京でのレギュラーDJを渋谷Bar Musicで再開出来たりと、実り多い歳となりました。もちろん活動の基本であるedgeでのレギュラーがあってのことと、足を運んで下さる皆様に感謝申し上げます。来年は久しぶりの学生生活となる広島大学大学院での研究もはじまりますので、意地でも仕事・音楽・研究の3部門を両立させたいと思います。」
■シュナ(高校1年生): KANDYTOWNに導かれてSTEREO RECORDSにたどり着いた高校一年生。KANDYTOWNに教わったサンプリングの美学について考え、元ネタを掘る日々を送っています。
1. FKJ / French Kiwi Juice / Roche Musique
今年のベストディスクと聞いて、一番初めに思い浮かんだのがこの一枚。初めてSkylineのMVを見たときは聴覚、視覚、共に衝撃を受けました。音の数が丁度良く、聞き流すと流さないの絶妙な境界線にあり、自然と体を揺らしてくれるこのサウンドはFKJならではだと思います。このサウンドからは想像できないクレイジーな髪形も大好きです。(笑)
レコードで手に入れたかった…
2. GOODMOODGOKU & 荒井 優作 / 色 / Artbreakhotel3
この二人について説明すると長くなるし、私もよくわからないところがあります。
それくらい規格外で、そんな二人が作っちゃった前代未聞のアルバムです。iTunesではR&Bに分類されており、不思議な点がたくさんありますが、それがこのアルバムの良さだと思っています。一言で言うと、” 気持ちよくさせて” くれます。非日常を感じられるので、現実逃避したいときに聞いてます(笑)
3. Sonder / Into / Sonder
YouTubeサーフィンをしていた時に出会ってしまったSonder。
Too FastのMVを見た時には、今までにはない、どこからか湧き上がってくる生々しい生命力を感じました。
中毒性がハンパないです。ビートの黒さと、Brentの切ない歌声に心を掴まれたら離れることはできません!
4. Ryohu / Blur / LIQUOR&FOODS I.K.
私の大好きなKANDYTOWNの中でも、様々なジャンルを股にかけ、いろいろな場所で活躍している呂布くんの最新作。
OKAMOTO’sのオカモトショウくんも言ってましたが、メロが最高!ラッパーはVerseが命と言いますが、呂布くんはHookが特に良いです。POPさと、KANDYTOWNの伝家の宝刀”ロマンチック”の共存は呂布君にしか出せない甘酸っぱさがありました。
5. Communions / Blue / Fat Possum
IceageやLISSなど、今若手が賑わっているコペンハーゲンの、顔も音もカッコいいバンド。(笑)
単純ですがクセになるメロが頭から離れなくなります。洗練されながらも迫力のあるギターサウンドが大好きです。
今年の2月に初来日しましたが、その時にはドラマーが熱を出しながらもライブをし、伝説を残して帰りました。
ひとこと「今回、この企画に声をかけてもらって、今年一年どんな音楽を聞いてきたか振り返ると、「あっ!あれ結局買ってない!」という物が多々あったので、まだギリギリ貰える、子どもの特権”お年玉”で買いたいと思います。(笑)
今年は神鳥さんに鍛えていただき、いろいろな音楽に触れることができたので、来年はそこをさらに掘り下げる年にしたいです。来年もSTEREO RECORDSにお世話になります!」
■DJ SATOSHI (IZMICAL / 音楽食堂ONDO) : 1983広島生まれ。10代でHIPHOPに夢中になりDJを開始。HIPHOP好きが高じて20歳でNYに1年住む。その時の体験でさらに音楽へとのめり込む。広島に帰った2005年に広島のDJ集団izmicalに参加。その後、東京に移り住む。青山蜂、東高円寺GRASSROOTS、吉祥寺bar cheekyでのレギュラーを中心にheavysick ZERO、OATHなどさまざまな店、パーティーにてDJ。2013年5月に活動の拠点を生まれ故郷広島へと移す。UNNATURAL HIGH / HONEY ADDICTIONなど4枚のMIX CDをリリース。2015年に3月広島の繁華街、薬研堀に音楽食堂ONDOをOPEN。 www.ongakushokudoondo.com
・FKJ / French Kiwi Juice / Roche Musique
昨年、IZMICALのOKITOにフランスのRoche Musiqueがヤバイと教えられ、バックタイトル含めこのレーベル追いかけるようになっていました。レーベル主宰のFKJ、フルアルバムリリースの発表あってからワクワクと待ちわびたこの2LP。期待以上の内容でどの曲も味わい深く聴けば聴くほどジワジワくる!!やはりRoche Musiqueは音質も好き!!僕的に2017年上半期を象徴するタイトル。フューチャークラシック。
・RHYDA / FUNG-FU JAMMING’ / VITAL
レペゼン吉祥寺RHYDA!!東京に住んでいたころよくパーティーご一緒させてもらっていた大好きな友人。当時からPUNKでRUDEで愛のあるB-BOYスタILL、イカれてイカしたLIVEに興奮させられまくりでした!!初のレコードリリース来た〜っ!!ラップの内容もフローも大好きです。ONDOの年末パーティーアンセム決定!!もうすでにこの曲かかると大合唱になりますが、かけると皆帰ってくれなくなるので要注意(笑)来年絶対ONDO呼ぶので皆様お楽しみにっ!!!!!
・KAMASI WASHINGTON / Harmony of Difference / YOUNG TURKS
2年前くらいにでたアルバムでその存在を知ってから完全にファンになってしまいました。JAZZ、HIPHOP、R&Bのスーパースター達への客演でもカマシまくっていますが、やはりリーダー作素晴らしいです。壮大で繊細。A面の作品たちを再構築してくっつけたようなB面Truth、ONDOで開店前一人で眼を閉じて聴いたら鳥肌たちました。美しい!!!!!!
・KID FRESINO / Salve / Dogear Records
KID FRESINOのバンド編成プロジェクトEP。客演も豪華だし、生楽器と彼等の相性良すぎって思いました。何気にMockyとかもプロデュース加わっていてビックリ!!今年はC.O.S.A.とのLPもめちゃくちゃかっこよかったです。が、この12インチとにかく今年ONDOのパーティーでよくかかりました。特に朝方。僕もよくかけました。とにかくイイ!!!!
・LAURENCE GUY / SAW YOU FOR THE FiRST TiME / Church
店を初めてから自分でDJする機会が減り、ダンストラックの新譜を追っかけることが減ったのですがこのCHURCHというレーベルは好きでチェックしてます。2LPなんですが、浮遊感あり優しいアンビエントから声ネタリフレインで丁度良いLOOP感ある上品なDEEP HOUSEまでいいバランスで散りばめられていてかなり自分好みのアルバム。パーティーでもかけましたが、ONDOの通常営業の際にもよくかけてました。
ひとこと「今回は2017年に自分で買ったレコードというくくりで選盤させてもらいました。色んなタイプの音楽があり甲乙つけがたかったですが、ONDOでよくかけたものに絞って選びました。今年はSTEREO RECORSさんともイベントなどでよく関わらせていただき大感謝です。2018年レーベルワーク、イベント、ONDOの営業もさらにリキんでやっていきますのでどうぞよろしくお願いいたします!!」
■DJ まほうつかい : 「DJまほうつかいはターンテーブルを持っていないDJです。まほうのちからで音楽を作ります」 漫画家・西島大介の音楽家名義。ソロ・ピアノの作曲と演奏 を主な表現とし『All those moments will be lost in time EP』(2013)『Ghosts in the Forest EP』(2014)、ソロピアノ・アルバム『Last Summer』 (2015)をリリース。昨年夏には静岡県クレマチスの丘ヴァンジ彫刻庭園美術館、夏の恒例の「キャンドルナイト」にて ピアノ・コンサート&展示を行った。映画音楽、CM音楽、ポップソングの作詞作曲も手掛ける。プライベート・レーベル「DJMR」主宰。ポップ・ユニット「ひめとまほう」では、全曲の作詞・作曲・アートワークを手がける 漫画家としての近況は、2017年1月より未完作品の三度目の復活となる『ディエンビエンフーTRUE END』を「月刊アクション」にて連載中。最新作は双子のライオン堂より刊行の『アオザイ通信完全版1〜食と文化〜』。http://liondo.jp/?p=1541
Daisuke NISHIJIMA https://daisukenishijima.jimdo.com/
DJ Mahoutsukai http://djmahoutsukai.jimdo.com/
1. Chilly Gonzales / Room 29 with Jarvis Cocker / Deutsche Grammophon
DAFTPUNKのプロデュースやソロピアノで知られるチリー・ゴンザレスがPULPのジャービス・クッカーを迎えた最新プロジェクト。哲学と知性、そして正しい加齢具合。意外な二人の相性は最高。ゴンザレスは大好きな音楽家で、溢るる知性から「ピアノを弾く東浩紀」と個人的に呼んでいます。ほんとこの組み合わせ最高。今年ナンバーワン!!!!
2. 小沢健二 / 流動体について / ユニバーサルミュージック
これも哲学の音楽。秋葉原で聴くと僕は泣けてしまう。MVの「もっしーも!」のカットのロケ先で西島の個展「トゥルーエンドを探して」を開催したのですが、「オザケンの聖地だぞ」と密かに喜んでいました。
3. 長谷川白紙 / アイフォーン・シックス・プラス / Maltine
JAZZ THE NEW CHAPTERへのネットレーベルからの回答。サンダーキャットはドラゴンボールのコスプレするくらい日本文化好きだし新譜も最高ですが、僕たち日本人にとってはこっちの方がよりリアルでしょう。
4. どうぶつビスケッツ×PPP / ようこそジャパリパーク / ビクターエンタテインメント
今年を代表するアニソン。続編に関する騒動もありましたが曲に罪なし。それにしても元「タルトタタン」メンバーがMステに出演するなんて、うーがぉ!(相対性理論ファン目線)
5. DJまほうつかい×吉田隆一 / スーパー・ウォーズ / 自主
西島ことDJまほうつかいの最新曲は、アニメ『ビックリマン』のカバーです。原曲はタケカワユキヒデ。悪魔メイクはVampillia、VMO、集団行動の真部脩一さんが担当。地元広島からjailbird Y安藤くんも参加。聴いて!
https://youtu.be/snWIOXyW93g
■のりんちょ!(グッドネイチャー部): グッドネイチャー部の部長。映画とコーラが好きです。
1. Kyle Dixon & Michael Stein / Stranger Things 2 (Soundtrack from the Netflix Original Series) / INVADA
今年一番夢中になった海外ドラマのサントラです。80sぽいシンセサウンドがずっと好きなので曲もツボでした
2. シャムキャッツ / Friends Again / TETRA RECORDS
今年はツアー広島なかったよ。牛すじ煮込めなかった
3. Work Drugs / Flaunt The Imperfection / Self-released
前々から好きで最近活動してるのかなーって調べたらアルバムがちょうど出てて今までのアルバムよりも好きな曲が多くて嬉しかった
4. Homecomings / SYMPHONY / SECOND ROYAL RECORDS
今年も沢山ライブが見れたし福富くんと写真いっぱい撮りました
5. Mariana In Our Heads / Since You Get Home / SAILYARD
去年ライブ見てから大ファンなのですがまた広島来てくれないかなあ
ひとこと「今年もずっと楽しかったので来年もこんな感じでやります〜」
■前園直樹(冗談伯爵) : 音楽家。広島市在住。新井俊也とのユニット<冗談伯爵>で活動中。最近作は脇田もなりのシングル「WINGSCAPE / LED」全面プロデュース。https://www.instagram.com/zony/
・SKY TONY / Berri / City Baby Records
LA出身。東京のレーベル<city baby>カタログ2番。本作について得ている情報は以上。4月にごく少数出回った際は買い逃し落胆したが、夏にbandcampの公式ページからフィジカルを入手。音からはシティポップやシンセブギーといった意匠を聴き取れるが、本質は完全にロックンロール。滲むユーモアのセンスに感激、共感しました。5曲収録、全編インストゥルメンタル。
・エマーソン北村&浦朋恵 / 飲み歩くおばけ c/w 消えた赤バス / TONGS INTERNATIONAL
流川<SEA CAKE STYLE>で月例開催中の<踊れないロックで名曲だと思うロック>に頻々とDJ参加しているが、夏に「飲み歩くオバケ」をかけた時の空気が忘れられない。北村氏のティミー・トーマス風味の密室レゲエに、浦氏のクラリネットの音が彷徨う。レーベル<TONGS INTERNATIONAL>の掲げるテーマ<言葉のない、エキゾチックな3分間>をまさに体現した傑作。
・KIEFER / Kickinit Alone / LEAVING RECORDS
米国西海岸の鍵盤奏者によるジャジー・ビーツ集。ウェブ・サイトで試聴しまくっていた際にぐうぜん出逢えた傑作で、一生聴ける作品は10秒も試聴すれば判るが、本作は完全にその類。
にべもない書き方になるが、いま、レコード店における新譜購入の最大の決め手は、ずばり<試聴>。コピペではなく肉声で魅力を教えてくれるレコード・バイヤーと来年は出逢いたい。
・SIV JAKOBSEN / The Nordic Mellow / THE NORDIC MELLOW
オスロのシンガー・ソングライター、ファースト・アルバム。晩秋に手元に届いて以来、ターンテーブルの常連ですが、本作とオイルヒーターとウイスキーで、例年より厳しくなりそうなこの冬は乗り越えられそう。VASHTI BUNYANやJONI MITCHELLの名がよく引き合いに出されるが、その実、曲線的かつ鋭角的という無二の歌を操る才媛。録音も上等で、響きはとても現代的。
・カーネーション / Suburban Baroque / Crown Stones
来年、結成35周年を迎えるバンドの最新作。アナログ盤が本稿の〆切間際に届き、改めて聴き込んだせいで、提出が遅れてしまった。
うたとことば。演奏。録音。そして生活。音楽にまつわるあらゆる要素において研鑽が積み重ねられた印象に満ちた本作が、不思議とバンドの最高到達点ではなく最高速で駆け抜けゆく通過点の様相を呈していることが驚異的。もちろん傑作。
ひとこと「2017年はカーネーション直枝政広さんの広島ソロ公演への客演が実現。皆さま、ことしもお世話になりました。」
■ Yanshinista!(無線衝突/しくじるなよ、ルーディ) : ROCK DJ。それぞれ違うテイストのパーティ「無線衝突」「しくじるなよ、ルーディ」(いずれも鷹野橋スリムチャンススタジオで開催)で活動中。ロックンロールの他には犬と野球が好き。
1. King Krule / The Ooz / True Panther Sounds
今最も信頼のおけるアーティストの1人。1stはなかなか超えられんだろとか思ってたけど…ずっと聴いてます。これからをタフに生きる唯一無二のビートニク。
2. Cosmo Pyke / Chronic Sunshine / Self-released
2017年1番プレイした新譜。もう好きになる要素しかないです。こういう音こそがロンドンから生まれるべきというか。血眼で探し出した7インチは大事にしたい一枚です。
3. Young Fathers / Only God Knows / BIG DADA
チンピラ達が追求する汚れなきモダンポップス。ピュアな衝動が溢れています。トレインスポッティング2は結局見に行ってません。
4. Dirty Projectors / Dirty Projectors / DOMINO
言わずもがなの2017年サマーアンセム「Cool Your Heart」収録。今年のソーメン流しは本当に楽しかったな…
5. Cloud Nothings / Life Without Sound / Carpark Records
胸を掻き毟られまくる珠玉のモダンパワーポップ「Modern Act」収録。ライブイベントでプレイしてると、パンク好きのお客さんからよく問い合わせられます。
ひとこと「よくプレイしたものを中心に選びました。個人的に久々にUKの音楽が面白がれた1年で、来年はその辺でさらに楽しめてるといいなと思います。DYGLのBUZZCOCKSのカバー音源なんかも楽しみにしてるんですけど、パンクロックやロックンロールがモダンな感覚でより盛り上がっていれば尚いいなとも。」
■神鳥 孝昭(STEREO RECORDSオーナー)
・DIRTY PROJECTORS / DIRTY PROJECTORS / DOMINO
・Qiezi Mabo loves PUNPEE / Qiezi Mabo Forever (Fried Chicken Mix) / 自主
・VINCE STAPLES / BIG FISH STAPLES / Def Jam Recordings
・FLAMING LIPS / OCZY MLODY / Warner Bros.
・MirrorMoves / DRIVE-THRU KING / STEREO RECORDS
ひとこと「年間ベスト5だけどぶっちぎりのBEST 1はDIRTY PROJECTORSでした。ゴスペル基調のエレクトリックな作品なんだけど、単純に僕のツボですね。Qiezi Maboも衝撃でした。世界とタメ張れるクオリティーと独自性とギャグ・センス。海外のトレンドばっか追っかけてない感じも好きです。VINCE STAPLESはめちゃめちゃ聴きましたね。参加してるアーティストも僕の為に?ってくらい好きなアーティストばかりで。これメインストリームでカマせれるの最高だと思います。 FLAMING LIPSは安定して好き。最後に当店レーベルからデビューEPをリリースしたMirrorMoves。リリースを通じて外界とコネクションを取り始めた彼等にエールの意味も込めてのチャート入りです。」
■松島 卓也(STEREO RECORDS):ジェントルメン
・Feist / Pleasure / Interscope Records
凄すぎて感泣。5月くらいに出た瞬間「あ、もう今年のベストはこれだ」って決めてました。なんか誰にも良いとも言いたくない、なんか自分の中だけに閉まっておきたいです。
バックはチリー・ゴンザレスとモッキー等のお馴染みチーム。宅感ギリギリの録り方とか、自分の耳に合ってるってのも大きいです。4日ズレの大阪行く予定(3日間酒飲みまくっただけ)があって、ライブ行けず(泣)何してんだろ俺~。
・King Krule / The OOZ / True Panther Sounds
音色レイヤー構築具合がもう誰にも追従できない。凄すぎる。どうやったらこんなん作れるや。やっぱ天才なのか。
すまん。今まで「なんかつまんね~な~」って思ってたの撤回するわ。
・KH / Question / Text Records
有名なDJさん達がもう既にこぞって上げてて、やっぱ「だよな!!」 って感じの1枚。フォー・テッドの本名イニシャル名義でリリースされたブッ飛び系のこの1枚。ロンドンの名店、PhonicaとSounds of the Universeで100枚だけ通販無しでリリースされたらしいです。(結局日本にも入ったけど。)
リリース後、Discogsでついた最高値なんと7万円!!Floating PointsやJamie XXもこぞってプレイ。今年出た12インチの中でも内容・価格・話題性・現場力、どれも超スペシャルな1枚でした。
あ、元ネタは「Bobby Powell – Question」の早回し。なんか、急に市場で見なくなった気がする。いそげ~。なんちゅー事はない古典的量産可能系エディットなんだけどね。いいよね。
・FKJ / French Kiwi Juice / Roche Musique
遂にって感じだったFKJのアルバム。すっかり忘れてたんだけど今年か。春先にとあるショーのmix作る仕事があり、ピックアップしてよくよく見たら半分以上Roche Musiqueの音楽になっちゃって、、、「ええっっ!! うそやろ!!」って、ドテンやり直しでめちゃくちゃ大変だった思い出(笑)
一般的な層にもFKJとかDariusが結構うけて、いい感触でした。先述のソレで既に音にはかなり疲れてんだけど、今日「このレコードありますか?」っていう女性のお客様も居たし。。。Roche Musique、すっげーいいよね!!
・Moodymann / Forevernevermore / PEACE FROG
何だよ、これかよって感じでしょうが、再発も紛れ込ませ(笑)2000年の名作が遂にLP再発。中古盤は現場で使い古された悪いコンディションが多く、良い物は高くなってたので嬉しいです。確実に現場需要が高まってる感じがあり、シカゴ/デトロイトの再発も最近お盛ん。こーいう事が確実に現行音楽シーンに地味~に広~く影響与えます。
今後重要になるパーツだと思います。ま、全部、Youtubeとか見ただけの感触だけど (爆) RAINBOW DISCO CLUBもいけねーや、超好きなBlack Madonnaすら行けねーわ(泣) Dekmantelまでの道のりは遠いな(泣)
ひとこと「個人的な思い出ピックアップでした。今年は特に難しかったなぁ。わざわざ上げる感じじゃない30位くらいのは山程あるんですが。マーケットのライフサイクル見てると再来年あたりかなり期待してます。」
■山岡弘明(STEREO RECORDS): 2017年の夏から約14年ぶりに故郷広島で生活しています。今回、老舗音楽ブログのMonchicon!のベスト企画にも、選盤とコメントで微力ながら参加しております。良ければ覗いてみて下さい。
1. Jay Som / Everybody Works / Polyvinyl
なんでこんなにイイんでしょう。誰か教えてください。オークランドを拠点に活動する女性SSWの新作は、90年代オルタナサウンドのイイとこどりをしたようなサウンド+ブラックミュージックの恐るべきクオリティ。ソングライティングのレベルがまず半端ないんですが、各楽曲の性格に合わせた音のプロダクションが素晴らしいです。90Sを過ごした全ての大人たちへ。
2. (Sandy) Alex G / Rocket / Domino
時の人Frank Oceanからも寵愛される若干24歳くらいのSSWの既に8作目。風通しの良いフォーク/カントリー(や気狂い気味のハードコア)がオーセンティックな趣で並ぶが、そこには一聴する分では気づかない「異物感」が。それを纏め上げるセンスたるや。それまでのベッドルームポップの域を出た大化けした1枚。
3. Bedouine / Bedouine /Spacebomb
シリア出身の女性SSWの初作は、Matthew E. Whiteオジサンが主宰する信頼の〈Spacebomb〉からリリース。レーベルのカラーともいえるレイドバックしたフォークサウンドを基調としながら、自らの出自であるアルメニアや中東の風景が浮かんできそうなアーシーで乾いた独特の質感が何故かノスタルジアを喚起します。彼女のスモーキーな歌にそっと寄り添うな控えめなストリングスアレンジも素晴らしいです。
4. Skyway Man / Seen Comin’ From a Mighty Eye / Yewknee
2016年にSweet Dreams Pressの招聘で来日もしたナッシュビルのSSW、James Wallaceの新作。これも前述した〈Spacebomb〉のMatthew E. Whiteが参加してます。豊かなコミュニティ。ソウル基調のフォークというか、昨年のWhitneyが好きだった人は好きだと思います。ホーンやストリングスだけでなく、電子音で装飾されたアレンジも大味すぎず暖かい。
5. Alex Cameron / FORCED WITNESS / SECRETLY CANADIAN
迸るBruce Springsteenイズムに、胡散臭さ全開のビジュアル(MVも)が今の時代フックになる事を知っている男、その名はアレックス・キャメロン。ボウイやニック・ケイヴの影響を受けたと言われるのも納得の暑苦しい(?)ヴォーカルとシンセが奏でる80S前後のアメリカンサウンドの妙。こんなエモーショナルな音楽他にあります?
ひとこと「趣味全開になってしまいました。漏れた分だと、DIRTY PROJECTORSとシャムキャッツがとても良かったです。特にシャムキャッツは、特別な事してないのに特別になってしまった感があります。ダープロはDave Longstrethのお兄ちゃんのインスタもフォローする位好きです。」
改めて、選盤者の皆様ありがとうございました~!編集する身としてもとても楽しくやらせて頂きました!これをきっかけに「あの作品めっちゃ良かったよね~」みたいなちょっとした会話が各現場で生まれてくれれば本望です!ではまた来年~。皆様良いお年を!!